最初で最後の話し合い

私たち3人は、ファミレスの駐車場に停めたGHの車の中に居た。7時からのホセとのミーティングを前に、この車内で、シュミレーションを繰り返した

7時、意を決して、店に入る。まだホセは来ていないようだ。食事をしながら待つことにする。結局彼は1時間半遅れてきた。座るなり、関係ない話を上機嫌で話し始めた。彼のペースになっちゃ駄目だ。とりあえず、彼の希望を聞いてみる。

「来季は、どのポジションをやりたいですか?」私

「ヘッドコーチと、オフェンシブコーディネーターと、ディフェンシブコーディネーターと、スペシャルチームコーディネーターの全てをやりたい」


駄目だ・・・絶対に彼をヘッドコーチにしてはいけない。彼の答えで私は確信した。しかし、昨年、自分がどれだけ活躍したか、とくとくと話し始めて止まらない。GHもタミも、薄ら笑いを浮かべながら、適当に相槌を打っている。


もひとつだけ、質問してみる。


「タックルクリニックには、どのくらいの時間が必要?」


きっぱりと「24時間」


私たちの計画では、開幕まで30回の練習だ。そのうちの24時間、またタックリングを繰り返すのか・・・だめだ、だめだ、だめだっ!


もう、私が言うしかない!


「私たちは、来季、あなたを、ヘッドコーチとは考えていません。


店の中がシーンとなった気がした。ホセの動きが、しゃべりが止まった。そして顔色が変わり、数秒間黙った。そして今までの早口と違って、ゆっくりと低い声で言った。


「今、なんと言った。もう一度言ってみろ。」


あああ、ドラマのシーンみたいだ。でも言うしかない。もう一回言った後に、その理由を、間髪要れずに、一気にしゃべろう。彼にしゃべらせちゃ駄目だ。


直球を投げなきゃ、と思ったけど、ちょっと逃げた。

「去年あなたがオフェンスもディフェンスも見ていたので、私は試合中に、オフェンスについて、オフェンシブコーディネーターと話したくても、あなたは、ディフェンスを見なくてはならなかったので、話すことができなかった。来年もそういうことでは、試合中にゲームをフィックスすることはできなくなる。あなたみたいなスペシャリストには、是非ディフェンスコーディネーターになって欲しい。ウォリアーズディフェンスにはあなたが絶対に必要だ。」


もっともっと長く話したと思う。一気に捲くし立てた。途中から、GHもタミも加勢してくれた。ホセは「じゃあ、いったい誰が、ヘッドコーチをやるというんだ。」来季のヘッドコーチを気にしたが、それについては私たちは「まだ決まってない」とだけ告げた。


たぶん、1時間くらい話し合った。最後は、握手をして、笑顔で彼と別れた。これで彼は納得してくれたとばかり思っていた。




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The Pacific Warriors Owner / Player

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